亡くなったペットを宝石に|犬・猫の遺骨で作るモアサナイト
近年は、亡くなったペットの供養として、遺骨を宝石として残す方法があるのをご存じでしょうか。
大切な家族であるペットと別れる悲しみや寂しさは、言葉にできないほど深いものです。その存在が日常から消えてしまったとき、「この想いをどうやって残そうか」と悩まれる方もきっといらっしゃるはずです。遺骨を宝石として残す方法を知っておくと、供養の選択肢も広がり、よりあなたらしい供養のかたちを見つけることができるのではないでしょうか。
今回は、ペットの遺骨を宝石にすることの意義や、遺骨から生まれる宝石「モアサナイト」の魅力、さらには製作を考えるにあたって大切なことなどをご紹介します。
この記事が、家族である愛するペットとの別れに直面しそうな方、または直面してしまった方にとって、やわらかな光をもたらすものであれば幸いです。
ペットの遺骨を宝石にするとは?心を癒す新たな供養のかたち

亡くなった方のご遺骨を宝石に加工し、そのまま手元に置いたり、指輪やネックレスなどのアクセサリーとして身につけたりする方法は、近年「手元供養」のひとつとして静かに広まりつつあります。この供養は人だけでなく、大切なペットに対しても同じように行うことができます。
ご遺骨から生まれた宝石には、
こらえきれない悲しみを、そっと癒してくれるもの。
紡いできた絆をいつまでも残し、共に過ごすもの。
触れるたび、愛情や感謝、思い出を実感できるもの。
そういった意味が込められています。
形があることで、ふとした瞬間に手に取り、ペットとの思い出を温かく振り返ることができるのです。
さまざまな供養方法がある中で、「遺骨を宝石にする」という供養は、大切なペットをいつまでも身近に感じられる、特別な選択肢です。

ペットの遺骨から宝石を作る方法とは?
一般的な方法は、ペットの遺骨や爪、毛などから炭素を抽出し、高温高圧処理にかけて生成します。作りたい宝石の大きさや種類、数によって必要となる遺骨の量は異なりますが、数十~数百グラムから作ることが可能です。
宝石にしない遺骨の供養方法
宝石に変えない分の遺骨は「お墓や納骨堂に埋葬する」「ミニ骨壺に納めて自宅で見守る」「粉末状に砕いて散骨する」など、いくつかの方法で供養することができます。
いつまでに決めなくてはならないということはありませんので、それぞれの特徴や注意点を押さえた上で、「自分や家族にとって、本当に安らぎとなる方法かどうか」をゆっくり話し合って決めましょう。

犬や猫などペットの遺骨から作る宝石「モアサナイト」
遺骨から作られる宝石はいくつかありますが、こちらでは「モアサナイト」についてご紹介します。どのような特徴を持つ宝石なのか、その魅力を見てみましょう。
ダイヤモンドに負けない輝き
モアサナイトは、光の屈折率や分散度が高く、強いきらめきを持つ宝石です。見る角度によって虹色のような光が浮かび上がり、専門家でも判別が難しいほどダイヤモンドによく似ています。
隕石から発見されたという天然のモアサナイトは非常に希少な鉱物ですが、現在では人工的に生み出すことが可能になりました。遺骨からお作りするモアサナイトも、その美しさは変わらず、ダイヤモンドに負けない上品で鮮やかな輝きを放ちます。
高い耐久性
モアサナイトは、宝石の中で最も硬いとされるダイヤモンドに次ぐ硬さを持っています。日常的に身につけていても傷がつきにくく、飼い主が人生を共に過ごすパートナーとして安心して持つことができる点も魅力のひとつです。
環境にやさしい「エシカルな宝石」
モアサナイトは人工的に作る宝石のため、天然の宝石のように、鉱山の採掘による環境負荷や、希少な宝石をめぐっての紛争、児童による労働といったさまざまな問題をクリアすることができます。
次世代にふさわしい「エシカル(倫理的、道徳的) 」な宝石。それがモアサナイトなのです。
手に入れやすい価格
遺骨から作るダイヤモンドの場合、取り出した炭素を高温・高圧処理にかけて製作しますが、その工程には多くのエネルギーと設備を必要とするため、どうしても高額になってしまいます。
一方モアサナイトは、少ないエネルギーで安定して生成できるため、価格が非常にリーズナブルです。たとえば、遺骨ダイヤモンドが数百万円に達するケースでも、同等のサイズと輝きを持つモアサナイトであれば、30万円前後からつくることができます。
「大切な人への想いはしっかりと込めたいけれど、過度な出費は避けたい」とお考えの方にとって、モアサナイトは費用面での負担を抑えながらも心に寄り添える選択肢となるでしょう。

遺骨モアサナイトと過ごす日々|飼い主の日常に寄り添う具体例
遺骨から作ったモアサナイトは、日常や特別な時間を通してペットとのつながりを感じられる存在となります。
ここでは、遺骨モアサナイトが日々の暮らしの中で、どのように寄り添ってくれるのかを、具体的な例とともにご紹介します。
触れるたびに伝わる安心感
ペットを失ってしばらくは、何気ない瞬間にも深い寂しさが押し寄せます。そんなとき、ペットの遺骨から作ったモアサナイトに触れるだけで「そばにいる」という感覚がよみがえります。
たとえば、朝の支度をするときに指輪に触れて一日を始める。
仕事の合間、ネックレスを握って深呼吸する。
夜、帰宅してからそっとジュエリーを眺め、穏やかな気持ちで眠りにつく。
そんな日常の中の短いひと時が、深い悲しみを和らげ、前を向く勇気を与えてくれるでしょう。
人生のさまざまな場面とともに
ペットの遺骨で作った宝石は、「もう一度一緒に体験する」という夢を叶えてくれます。お決まりの散歩コースや大好きだった公園、カフェに連れて行くのはもちろん、温泉や海外旅行など、生前には体験させてあげられなかった場所に出かけてみてはいかがでしょう。
さらに、入社や結婚など人生の大きな転機には、お守りとして身につけることもできます。姿が見えなくなった後も、こうして思い出を重ね続けられるのが、遺骨から作る宝石の大きな魅力です。

製作に向けて心に留めておきたいこと
遺骨モアサナイトに限らず、宝石は一度形にしてしまうと元に戻すことはできません。だからこそ、気持ちや環境を整えてから進めることが、納得感や後悔のない仕上がりにつながります。ここでは、製作前に押さえておきたい大切なポイントをご紹介します。
自分の気持ちと向き合うタイミングを大切に
ペットとの別れの直後は、感情の波が激しく、冷静に判断することが難しい時期です。無理に行動してしまうと後悔に繋がりかねません。
まずは、少しずつ心が落ち着いてきたと感じられるようになるまで、静かに待ちましょう。その間に、「どんなデザインや宝石が自分の気持ちに合うか」「他の供養方法との組み合わせはどうするか」を考える時間を持つことが大切です。心の整理が進んだ状態で選ぶことが、長く愛せる宝石づくりの大きなカギとなるでしょう。
信頼できる会社を探す
遺骨を使う宝石の製作は、高い技術と丁寧な対応が求められます。サービスを提供している会社を選ぶ際には、以下のような点を確認しましょう。
•製作工程が明確に説明されているか
•遺骨の取り扱い方や保管方法に配慮があるか
•デザインやカットの提案力があるか
•納期や保証内容が明確か
特にペットの遺骨はかけがえのない存在ですから、安心して預けられる体制が整っているかを見極めることが重要です。顔が見えるかたちで事前相談を行い、質問に丁寧に答えてくれるかどうかも信頼性を判断する材料になります。
ペットの遺骨から作る宝石に関するFAQ
ペットの遺骨をお墓や納骨堂に埋葬する際、「合祀(ごうし)」という方法がとられることがあります。合祀とは、他のペットの遺骨と一緒に埋葬することで、一度合祀してしまうと後から取り出すことができません。
埋葬後のペットの遺骨からでも宝石を作ることは可能ですが、合祀されていないことが条件となります。宝石化を考えている場合は、個別埋葬してもらうよう寺院や霊園に依頼しましょう。
宝石を作るための素材は、遺骨だけでなく毛や爪などを使うこともできます。しかし、ペットの大きさや健康状態によっては足りないこともあるでしょう。
足りない場合は天然素材などを使って補うことができますが、具体的な方法や対応は会社によっても異なります。不安な方は、事前に問い合わせておくと安心です。
遺骨から作る宝石の製作期間は、一般的に数カ月~1年ほどといわれています。期間に大きな差がある理由は、製法の違いや依頼数、宝石のサイズや特殊加工の有無、さらには製作する場所(国)などが関係しています。
大切な記念日や節目に合わせて受け取りたい場合は、余裕を持って依頼し、納期の確認をしておくことをおすすめします。

ペットの遺骨を宝石に──あなたらしいかたちで残す選択肢
ペットの遺骨を宝石にすることは、喪失の痛みを乗り越えるためだけではなく、「一緒に生きた時間」をこれからも静かに抱きしめていく意味も持ちます。
指先や胸元で小さく輝く宝石は、忙しい日々の合間にもそっと安らぎを与え、あの日の温もりを呼び戻してくれるでしょう。
ペットの遺骨を宝石に託すかどうかは、誰かに決めてもらうことではありません。あなたの歩幅で、あなたの言葉で、あなたのタイミングで決めてよいのです。
思い出に守られながら、今日よりも少しやわらかな明日へ。
ペット、遺骨、宝石──その3つが結ぶ絆が、これからの日々を照らすあたたかな光となりますように。