遺骨でつくるジュエリーとは|ネックレス・指輪・ピアスの特徴解説
大切な人を偲ぶ新たな手段として注目されている「ご遺骨ジュエリー」。それは、故人様への想いをかたちにした、やさしい供養のスタイルです。
「お墓に埋葬してしまうとつながりが無くなってしまうようで寂しい」
「新しいスタイルの供養について知りたい」
「ご遺骨ジュエリーに興味はあるけど、どういうものかよくわからない」
そんなお気持ちを抱えている方が安心して選べるよう、この記事ではご遺骨ジュエリーの特徴や選び方、ジュエリーの種類、後悔しないための注意点などを詳しくご紹介します。
どうぞ最後までお付き合いください。

ご遺骨ジュエリーとは?3つのタイプと特徴
「ご遺骨ジュエリー」と呼ばれるものは、大きく分けて3つあります。
まずは、それぞれのタイプと特徴を見てみましょう。
ご遺骨の一部を納めるタイプ
「ご遺骨ジュエリー」のひとつめは、ご遺骨やご遺灰の一部を、ペンダントなど専用のジュエリーに納めるタイプです。
専用のジュエリーには小さな空洞があり、その中に細かくしたご遺骨やご遺灰を入れます。開閉部分はネジ式や専用のフタでしっかり密閉されるため、日常生活でも安心して身につけることが可能です。
ご遺骨から宝石を作るタイプ
ふたつめは、故人様のご遺骨から必要な成分を抽出し、人工的に宝石を生成するタイプです。サファイア、麗石、真珠…と、製法や組み合わせる素材によってさまざまな宝石を作り出すことができます。
ここでは、その中でも代表的な宝石をご紹介します。
ダイヤモンド
ご遺骨から取り出した炭素をもとに、高温・高圧の特別な環境で生成される人工のダイヤモンド。天然のものとほとんど変わらない美しい輝きを持ち、時間が経っても色あせることなく、半永久的に残すことができます。
製作には大がかりな装置が必要で、多くは海外の工場でつくられるため、ご遺骨ジュエリーのなかでも高額になる傾向があります。それでも、「宝石の王様」と呼ばれるダイヤモンドは、その硬さから「壊れない絆」を象徴する存在として、多くの方に選ばれています。
モアサナイト
モアサナイトは、ご遺骨やご遺髪、あるいは大切な思い出の品から取り出した炭素を基に生み出される宝石です。その見た目はダイヤモンドにとてもよく似ていますが、光の屈折率や輝きの強さはダイヤモンドを上回ります。
リーズナブルな点も大きな魅力で、たとえば、数百万円かかることもある遺骨ダイヤモンドに比べて、モアサナイトなら同じサイズでも30万円前後から製作が可能です。
「輝きや美しさを大切にしたいけれど、無理のない金額に抑えたい」
そんな想いにやさしく寄り添ってくれる、次世代の新しい宝石です。
ご遺骨から作った宝石をジュエリーに加工したタイプ
そしてもうひとつは、ご遺骨から作った宝石をジュエリーに加工したタイプです。指輪・ネックレス・ペンダント・ブレスレット・イヤリング・ピアスなど様々な形があり、一般的なジュエリーと見た目はほとんど変わりません。
今回は、この「ジュエリーに加工したタイプ」を中心に、詳しくご紹介していきます。

ご遺骨ジュエリーがもたらす心の効果
ご遺骨をジュエリーとして手元に残すこと。それは、故人様の一部を大切に守りながら“やさしい輝き”という新たなかたちに託すことです。単なる装飾品ではなく、日々の暮らしのなかで持ち主の心をそっと支え、絆を感じさせてくれる存在なのです。
ご遺骨ジュエリーが、ご遺族の心にどのような安らぎをもたらしてくれるのか──
こちらでご紹介します。
日常に寄り添う「おまもり」
ご遺骨ジュエリーを「おまもり」として身につける方は多くいらっしゃいます。それは、魔よけや願掛けのような意味ではなく、「あの人がそばで見守ってくれている」という安心感からくるものです。
緊張する出来事や、不安に直面したとき。
そんなとき、胸元や指先に触れるジュエリーは、「大丈夫だよ」と静かに支えてくれる存在になります。まるで故人様と見えない糸でつながり、やさしく見守られているような感覚かもしれません。
この安心感は、特別な場面だけでなく、日々の暮らしの中に自然と溶け込みます。忙しい日常の中でも、小さな輝きが、心を落ち着かせる時間をそっと生み出してくれるでしょう。
故人様とのあたたかなつながりを保つ
時間が経つにつれて、大切な方の声や笑顔、ふとした仕草の記憶が少しずつ遠のいてしまうことがあります。
悲しみとともに大切な人の面影も薄れてしまいそうになったとき、ご遺骨ジュエリーのやさしい輝きがそっと思い起こさせてくれます。まるで記憶と今とをつなぐ、小さな橋のように──心の奥に眠っていた思い出が、輝きとともに鮮やかによみがえるのです。
そのたびに、言葉では表せないあたたかな感情が心に満ちるかもしれません。
悲しみを癒し前向きな気持ちへ
深い悲しみの中にいるときは、前を向こうと思っても、心がついていかないことがあります。ご遺骨ジュエリーは、そんな日々にそっと寄り添い、ゆるやかに心をほぐしてくれる存在です。
もう会えないという事実は変わらなくても、語りかけたり、新しい景色を一緒に見たり──
「そばにいてくれる」という感覚が、少しずつ前を向く力を育んでくれます。
それは、グリーフケアのひとつとしても意味を持つ、心を癒す一歩となるかもしれません。

ご遺骨ジュエリーの種類別特徴|ネックレス・指輪・ピアス
ご遺骨ジュエリーは形状によって使い心地や印象が大きく変わります。
ここでは代表的なネックレス・指輪・ピアスそれぞれの特徴を確認し、ライフスタイルや着用シーンに合った選び方を見ていきましょう。
ネックレスタイプの特徴
胸元でいつも寄り添ってくれているように感じられるのが、ネックレスタイプの魅力です。故人様の面影とともに日常を過ごすアイテムとして、外出や旅行のときも自然に身につけることができます。
デザインはシンプルなペンダントから華やかなチャームまで幅広く、服装やシーンに合わせて選びやすいのも嬉しいポイント。選ぶときには、チェーンの強さや留め具のしっかり感も大切です。毎日の着け外しを繰り返しても安心できる作りなら、長く大切にできます。
また、防水性のあるタイプを選ぶと、急な雨や汗にも心配なく身につけられます。価格は素材やデザインによって異なり、2万円台から10万円以上までさまざまです。
指輪タイプの特徴
手を動かすたびにきらめき、指先でいつでも触ることのできる指輪タイプも、故人様を身近に感じられるかたちのひとつです。
選ぶときには、まずサイズがぴったり合うことが大切です。なかには後からサイズ直しができるものもあるので、指輪を継承していきたいと考える方はぜひ参考になさってください。また、長く大切に使うためには、丈夫さも大事なポイント。硬度の高い金属や、傷つきにくい加工がされたものを選ぶと安心して使うことができます。
日常生活では、水仕事や運動のときに外すなど、摩耗や傷を防ぐ工夫をするとより長持ちします。価格は一般的に5万円~15万円ほどで、素材や宝石を加えるとさらに高くなることもあります。
ピアスタイプの特徴
耳もとでさりげなく輝くピアス(イヤリング)タイプは、日常使いはもちろん、特別なお出かけや式典などでも自然に身につけやすいのが特徴です。
デザインはシンプルな一粒タイプから、揺れるチャームや装飾をあしらった華やかなものまでさまざま。両耳用だけでなく、片耳にだけ身につけるスタイルを選ぶ方もいらっしゃいます。
価格の目安は、素材や宝石の大きさによって異なりますが、3万円台~10万円前後が一般的です。プラチナやゴールドなどの貴金属を選んだり、宝石の大きさやカットにこだわったりすると、それ以上になることもあります。

ご遺骨ジュエリーを選ぶときのポイント
さまざまな種類のあるご遺骨ジュエリー。どれがよいのかと悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。ご遺骨ジュエリーのデザインや色を選ぶときは、単に見た目の好みだけでなく、「故人様らしさ」や「身につける場面」を意識すると、より納得感のある一品になります。
具体的には、次のようなポイントを考えるとよいでしょう。
故人様のイメージや思い出
・好きだった色(例:花の色、洋服の色、趣味でよく使っていた色)
・人柄や雰囲気(穏やか・華やか・上品など)
・思い出の場所や季節をイメージできる色やデザイン
ご自身のライフスタイル
・日常使いか特別な日だけに使うか
・洋服やアクセサリーとの相性
形や素材の好み
・身につけたい形(指輪・ペンダント・ブレスレットなど)
・素材(ゴールド・プラチナ・シルバーなど)
長く大切にできるかどうか
・流行に左右されないデザイン
・お手入れのしやすさや耐久性

購入前に知っておきたい注意点
ご遺骨ジュエリーをつくった後に「こうすればよかった」と感じてしまうのは避けたいものです。
ここでは、安心して進めていくために、あらかじめ知っておきたい3つの注意点をご紹介します。
家族の同意を得る
「手元に置いておきたい」「お守りのように身につけたい」「遺骨は加工せず、そのままにしておきたい」──供養のかたちに対する想いは、人それぞれで違うものです。ご遺骨ジュエリーの準備を進める前に、ご家族の理解と同意を必ず得ましょう。
無理に進めてしまうと、思わぬ心のすれ違いにつながることもあります。どの想いも否定せず、ゆっくりと話し合いながら、故人様への気持ちを分かち合う時間を持つことが大切です。
ジュエリーというかたちだけでなく、それを選ぶまでの過程もまた、心を整え、故人様との絆を深める大切な時間になるでしょう。
ジュエリー化しないご遺骨の供養方法も考える
ご遺骨から宝石をつくるときは、製作に必要な量だけをお預かりするのが一般的です。そのため、宝石化しないご遺骨をどのように供養するか考えておく必要があります。
供養方法は、お墓や納骨堂への「埋葬」、海や山といった自然に還す「散骨」、ご自宅で供養する「手元供養」などがあります。それぞれの特徴を押さえ、ご家族で話し合って決めましょう。
信頼できる製作会社を見極める
大切なご遺骨を託すからこそ、安心して任せられる製作会社かどうかを見極めるのはとても大切なことです。
まず注目したいのは、説明のわかりやすさと丁寧さです。製作の流れやご遺骨の保管方法、返骨の有無、アフターサービスの内容まで、こちらから聞かなくてもきちんと伝えてくれるかどうかは、大きな安心材料になります。
加えて、費用と納期がはっきり提示されているかも重要なポイントです。見積もりの内訳が明確で、追加費用の有無や納期の目安がしっかりわかること、そして万が一のときにすぐ連絡が取れる環境が整っていることは、完成を待つ間の心の負担を大きく減らしてくれます。
信頼できる製作会社を選ぶことは、ジュエリーの仕上がりだけでなく、その過程を安心して過ごせる時間にするためにも欠かせないのです。
宝石のまま保管するかジュエリーに加工するか迷う方へ
ご遺骨から生まれた宝石を、「そのまま大切に保管するか」「ジュエリーに加工して身につけるか」――この選択で迷われる方は多くいらっしゃいます。
たとえば、日々のなかでふと触れたくなるような安心感を求めているなら、ジュエリーとして身につけることが心の支えになるかもしれません。逆に、安心できる場所でそっと守っておきたいという気持ちが強い方は、宝石のまま丁寧に保管するほうが、今の自分に合っていると感じられることもあるでしょう。
気持ちは、時間とともに少しずつ変わっていくこともあります。今は保管だけにしておいて、いつか心の準備が整ったときにジュエリーへ…といった方法でも良いのです。
大切なのは、「正しさ」ではなく「自分にとって自然なかたち」を見つけること。
どうか焦らず、ご自身の心にそっと問いかけながら、ゆっくり選んでいただければと思います。

ご遺骨ジュエリーに関するFAQ
ご遺骨の供養についての法律は「墓地、埋葬などに関する法律」によって定められています。これによると、墓地以外への「埋葬」は禁じられていますが、遺骨をジュエリーにすることは埋葬にはあたりません。そのため、法的にも問題なく行うことができます。
ご遺骨からつくられる宝石は、一般的な宝石と同じように美しくカットされます。そして、それを用いたジュエリーも、日常使いに適したものから華やかな場に映えるものまで、さまざまなデザインが揃っています。
そのため、ご遺骨ジュエリーは見た目だけでは一般的なジュエリーとほとんど区別がつきません。「周囲の目が気になる」という方も、安心して身につけていただけます。
遺骨からつくるジュエリーは、ご遺骨から炭素などの必要な成分を取り出し、加工されたものです。そのため空港でX線検査にかけられたとしても、「遺骨からつくられた」ことはわかりません。また、完成した宝石はご遺骨ではないため、仮にご遺骨ジュエリーだと申し出たとしても問題になることはないでしょう。
ただし、ネックレスや指輪などに加工していた場合、金属探知機に引っかかる可能性はあります。空港では、外して荷物に入れるか、トレーに置いて手荷物検査を受けましょう。
ご遺骨ジュエリーを新たな供養の選択肢に
ご遺骨ジュエリーには、ご遺骨の一部をジュエリーに納めるタイプと、ご遺骨から宝石をつくるタイプ、その宝石をアクセサリーに加工するタイプの3つがあります。
不安なとき
さびしいとき
ふと、会いたくなったとき
指先や胸元で光る輝きが、そっと心を包んでくれるでしょう。
「お墓に埋葬する」とは違う新たな供養のかたち。ご遺骨ジュエリーを、心に寄り添ってくれるあたたかな供養として、選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。